1時間目「相談や見積もりはどのに頼めばいいの?」でご案内しましたが、どのような相談先でもメリット・デメリット双方あるので、管理組合でよく検討することが必要です。工事内容はもちろん、価格、提案力そして親身になって相談に乗ってくれるか、などが検討材料になるかと思います。ここではとある管理組合の、大規模修繕工事の業者選定の流れを例にポイントを説明いたします。ぜひ参考にしてください。

会社情報・施工実績を確認しよう

右例のAマンションのように、建築専門誌や専門サイトで公募するのも方法のひとつです。また、独自で探す場合でも建物調査診断や見積を依頼する前に、会社情報と施工実績は必ず確認しましょう。施工会社によって得手・不得手があるので、なるべく同規模・同形状の物件を数多く手掛けているかどうかが確認のポイントです。場合によっては、施工中や施工済み物件の見学を依頼してみるのもいいかもしれません。
必ず相見積もりを取ろう

同規模物件の施工実績もあるし、信頼できそう・・・、と思う会社を見つけたら、建物調査診断や見積の依頼をしましょう。ただ、1社だけでは比較のしようがありません。必ず複数社から見積を取るのがポイントです。複数社に依頼することで、自然と競争原理が働き、サービスレベルの向上にも繋がります。その際は見積項目を統一しなければ不公平になりますし、比較検討ができませんので注意が必要です。
ヒアリングでは積極的に質問しよう

数社に絞った段階でヒアリングを実施します。書類だけでは判断できない、会社の姿勢や担当者の人柄も見ることができます。会社説明、施工計画の概略、安全管理、セキュリティ対策、アフターケアや見積価格の根拠などの説明を受けます。ここでは不明点は全て洗い出し、積極的に質問するようにしましょう。管理組合が一丸となって今回の大規模修繕をおこなっている印象を与えることが大切です。
万が一、のことも確認しよう

不況と言われる昨今、大規模修繕工事の最中に施工会社が倒産、ということも決して有り得ない話ではありません。事前の信用調査ももちろんですし、万が一、そのような状況になった場合の保証やアフターケアについても納得のいくまで説明を求めましょう。また、工事中の事故に対する保険加入なども、きちんと保険証券を確認するなど、口頭の説明だけでなく、その根拠となるものまで確認を徹底しましょう。

建築専門誌に募集記事掲載。
最終的に50社から応募があり、会社財務状況や施工実績などを基に10社を選定。現場説明会を開催し、見積依頼。
調査診断後、各社見積提出。見積結果を一覧表にまとめ、比較。価格の安い上位3社を二次選考通過とし、ヒアリングを実施。加えて再見積依頼。
各社再見積提出。ヒアリング時に最も意欲が感じられ、価格も一番低いX社に仮決定。同社に依頼を前提とした最終ヒアリングを行う。
理事会の承認を経て正式決定。価格も最終調整の結果、当初予定金額の7割程度で決定。
工事請負契約を締結。